今はブロックチェーンやトークンへの関心が高いです。 文藝春秋2016年9月号(コンビニ人間全文掲載 8月10日発売(通常発行部数平均50万、掲載号は臨時増刷されている。 書評:芥川賞『コンビニ人間 』感想とあらすじ 新しい世界観 50万部突破 究極のダメ男? 部品体験 発売日3種類 主人公をサイコパスする人? 評価追記; 書評:芥川賞『コンビニ人間 』感想とあらすじ 新しい世界観 50万部突破 究極のダメ男? 「なんだよ、このタイトルのセンスは」「よくある、フリーター経験の長い中年の私小説だろ?」と思って敬遠していた2016年上期芥川賞受賞作の『コンビニ人間』なのですが、いやはや、驚きました。傑作です。なんだこの小説は!?という新鮮な驚きを与えてくれましたので、ちょっと感想 … (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); こんにちは、Shin(@Speedque01)です。最近はめっきり小説を読まなくなってしまったのですが、ふと2016年の芥川賞受賞作「コンビニ人間」をKindleでダウンロードして読んでみました。, BSジャパン「ご本、出しときますね?」(2016年4月29日放送分)では、仕事のモチベーションは「喜」であり、「殺人のシーンを書くのは喜びです」と発言。MCを務めるオードリー・若林正恭に驚かれた。, この発言から、コンビニ人間もだいぶスプラッタ色が強そうに感じますが、この小説では人が死んだり拷問を受けたりするシーンはまったくないのでご安心ください。, ヒロイン古倉恵子は三十半ばだが、正規の就職をせずに大学時代に始めたコンビニのアルバイトを続けており、恋愛経験も皆無であった。, 子供の頃から普通ではないと思われていた古倉は、周囲の人たちの真似をしたり妹の助言に従ったりすることによって常人を何とか演じ続けてきたが、加齢によりそのような生き方も限界に達しつつあった。, そんなとき、就労動機を婚活だと言った後に解雇された元バイト仲間の白羽という男と再会し、彼と奇妙な同居生活を始める。それを「同棲」と解釈して色めきたった周囲の人たちの反応に若干は戸惑いつつも冷静に彼らを観察して、白羽との関係を便利なものと判断する。, のちに白羽の要求によりコンビニを辞め、就活を始めるが、たまたま立ち寄ったコンビニで、コンビニ店員としての自分を強く再認識し、白羽との関係を解消して、コンビニへの復職を心に誓う。, 話の中身は、上記ですべてカバーされてしまっています。コンビニ店員を長年やってきた主人公が、一度コンビニを辞め、その後考え直してコンビニへの復職を決めたところで終わるだけ。それだけのお話。, ただ、主人公である恵子、元バイト仲間の白羽、バイト先の店長やその他の友人たち、全員が全員おかしいのです。しかも、そのおかしさがとことんリアルなのです。, その圧倒的なリアルさ、「日本社会」や「現代」という枠を飛び越えた「人間全体」の気持ち悪さを書ききった怪作、それが「コンビニ人間」です。, 著者の村田氏本人がモデルだと思われる主人公恵子。首尾一貫している合理性を持ち、しばしばそれが一般的な「常識」を遥かに飛び越えていきます。, 例えば幼稚園のころ、公園で小鳥が死んでいたことがある。どこかで飼われていたと思われる、青い綺麗な小鳥だった。ぐにゃりと首を曲げて目を閉じている小鳥を囲んで、他の子供たちは泣いていた。, 「どうしようか……?」一人の女の子が言うのと同時に、私は素早く小鳥を掌の上に乗せて、ベンチで雑談している母の所へ持って行った。, 「どうしたの、恵子? ああ、小鳥さん……! どこから飛んできたんだろう……かわいそうだね。お墓作ってあげようか」, そこには一貫した合理性が確かに存在します。しかしながら、その合理性は社会の一般的な通念からするととても受け入れられないもの。恵子は、いわゆる「サイコパス」の一種と考えられます。, このような言動や行動を繰り返し、学校や両親から何度も注意をされたりカウンセリングに連れて行かれた恵子は、徐々に「自分は何かがおかしい」ということを自覚していきます。, しかしながら、どうすればそれが治るのかわからない、そもそも何がおかしいのかも理解できない恵子は、「自分からは何もしない、喋らない」という処世術を身につけました。, このような思考回路を恵子が持つようになったのはなぜなのか、その理由はわかりません。きちんとした両親もいますし、妹は「ちゃんと」育っています。, 社員の真似をして、勢いよくお辞儀をした私に、女性は笑って「ありがとうね、またきます」と言い、レジから去って行った。, 横で立って袋詰めをしていた社員が、 「古倉さん、すごいね、完璧! 初めてのレジなのに落ち着いてたね!その調子、その調子!ほら、次のお客様!」, 社員の声に前を向くと、かごにセールのおにぎりをたくさん入れた客が近づいてくるところだった。, そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。私は、今、自分が生まれたと思った。世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった。, 店の売上を上げてお客様の役に立つという明確な目的と徹底したマニュアルがある「コンビニ店員」という仕事は、恵子にとってはまさに天職。「コンビニ人間」が生まれた瞬間でした。, そして彼女はなんとそのコンビニで18年間つとめ、36歳になる現在もずっとそこで働き続けています。独身で恋愛経験もなく、趣味もありません。ただコンビニで働くためだけに生き、人生からコンビニ以外の要素を排除する、まさしく「コンビニ人間」になったのです。, コンビニ人間として何一つ不満を持たず働いてきた恵子ですが、歳を経るにつれて周りからの雑音が無視できないレベルになっていることに気づいてきます。, 「え、ずっと……? いや、就職が難しくても、結婚くらいした方がいいよ。今はさ、ほら、ネット婚活とかいろいろあるでしょ?」, 私はユカリの旦那さんが強く言葉を発した拍子に、唾液がバーベキューの肉の上に飛んで行ったのを眺めていた。食べ物の前に身を乗り出して喋るのはやめたほうがいいのではないかな、と思っていると、ミホの旦那さんも大きく頷いた。, 「うんうん、誰でもいいから相手見つけたら? 女はいいよな、その点。男だったらやばかったよ」, サツキの言葉に、シホたちが、「そうそう!」「誰かいないの、ちょうどいい人?」と盛り上がった。, 36歳でコンビニのアルバイト以外したことがない、独身で付き合った経験もない、そんな「異物」である恵子に、「普通の人々」は容赦なく干渉してきます。別の登場人物である白羽は、その様を「人生を強姦する」という言葉で表現します。, 「皆が足並みを揃えていないと駄目なんだ。何で三十代半ばなのにバイトなのか。何で一回も恋愛をしたことがないのか。性行為の経験の有無まで平然と聞いてくる。『ああ、風俗は数に入れないでくださいね』なんてことまで、笑いながら言うんだ、あいつらは!, 誰にも迷惑をかけていないのに、ただ、少数派だというだけで、皆が僕の人生を簡単に強姦する」, そんな状態に面倒くささを感じ始めていた恵子は、「ある手段」により「普通側」に行こうと試みます。, 「コンビニ人間」という異物である恵子は、果たして「普通の人間」 になれたのか。よければ実際に読んでみてください。, この小説に出てくる登場人物は、どこかおかしいです。主人公である恵子も、重要な登場人物である白羽もとことんおかしいです。彼らに嫌悪感を抱く人も多数いることでしょう。, しかしながら、読んでいて最も気持ち悪いと思ったのは、「どこもおかしくない普通の人々」です。そして、ぼくはおそらくその「普通の人々」の一員だということも、その気持ち悪さを助長しました。, 「おかしい」側である恵子や白羽の存在を異物として排除し、異常な行動があったら土足で彼らの内面に踏み込み「アドバイス」をする普通の人々。彼らは、「恵子や白羽のため」といいながら、「異物を排除したい」という遥か昔からプログラムされている人間の本能にしたがって動いています。, この本を読んでいると、「多様性を尊重する」ということなど、人間には不可能なのではないか、そんな思いにとらわれます。, 恵子のように「おかしさ」がぶちぬけてしまっていて、最終的に「人間として普通であること」をスパッと切り捨てることができる人であれば、それでも幸せに生き抜いていくことができるでしょう。, しかし、白羽のように「おかしいけれども普通になりたい、認められたい」というジレンマにはまってしまっている人は、いったいどうすればいいのでしょう。そういう少数派の人は、逃げることも出来ず、人生を強姦されながら生きていくしかないのでしょうか。, 記者9:改めて2つのことをおうかがいしたいんですが、先ほど「コンビニ愛を書けた」ということですが、どんなところにコンビニ愛を感じるのか、1つ2つあげていただくのと、やっぱり書いているうちに、自分が冷凍保存してきたいろんな違和感みたいなものがわき上がってきたということを前おっしゃっていた記憶があるんですが。, 書いているときに、作家の意地悪な目で見ているときに、冷凍保存してきた違和感というのは例えばどんなものなのか。ある程度具体的に教えていただければと思います。, 村田:そうですね……コンビニ。ごめんなさい、1つ目の質問を忘れてしまいました。コンビニ愛について?, コンビニっていう場所は、小さい頃から不器用だった自分が初めてなにかをまともにできた場所だと思っているので、ある意味ではすごく美化した場所で働いていたことになるので、小説家としてはあまりよくなかったかもしれないです。ちゃんと小説家の眼差しをもって働かなくてはいけなかったのかもしれないなと、この作品を書いてみて思いました。, 小説家の意地悪な目を通して見たときというと……そうだなぁ、でも意地悪というよりかは、人間のちょっと変なところ、バカにしたことを言っている人の表情とか、それは意地悪な目で見るというよりかは、おもしろいな、人間らしいなっていう目でずっと見ていたんだと思います。そういうことが頭のなかに冷凍保存されて、蓄積されていたんだと思います。, インタビューを読んでいると、「コンビニ人間」の主人公である恵子は、まさに著者の村田氏自身がモデルなんだろうな、ということがひしひしと伝わってきます。, 「コンビニっていう場所は、小さいころから不器用だった自分が始めてなにかをまともにできた場所」というのは、まさに恵子が作中で感じていたことです。, そして、30代独身女性・コンビニアルバイトという自身のある種特殊な経歴を活かし、今回の作品が出来上がったということでしょう。村田氏は、ほかの作品もぜひ読んでみたいなーと思わされる、独特な雰囲気を持つ人ですね。, 上記のような人たちには、ぴったりはまる小説であると断言できます。ぶっ飛んでいるものの、とことんリアル。難しい謎解きも殺人もないものの、「人間」という生き物の恐ろしさがわかる、異色の小説です。, 一回読み出すと、展開が気になって最後まで一気読みしてしまいますね。そんなに長くないので、2時間から3時間程度で読み終えることができます。, 現代の日本の闇を描いたように見えますが、これは人間全体の本性に関わるストーリーだと思います。著者の村田 沙耶香氏の人間への洞察の深さには敬服します。. スキンシップを完全に排した場合、どのような人間が育つのか。心理学者ルネ・スピッツの恐怖の実験。. 戦略コンサルタント。仕事や英語、就職活動やキャリアなど、役に立つ情報をお届けします。, お問い合わせやご依頼は outward.matrix●gmail.com まで。(●を@に変更ください).  )で, この主人公は、村田さん自身ではないのかという質問を受け、その度に違いますと答えてます。, 彼女の個人的な体験も、それを表現するための、材料として、使われているに過ぎないとわかるからです。, そう捉えて、純粋にこの小説の中身を理解し感じ取ることで、著者の村田さんの書いている時点での, 想像を超えた、理解すら読者はすることができます。それが読書の醍醐味ではないでしょうか?, かなりシステマティックになっています。そして、実際に教えてみると、確かに、ライブ感、生きがいを感じました。, 何も試さないまま、くすぶっていると、上でかいた究極のダメ男、白羽さんに近づいてしまうかもしれません。, この主人公をサイコパスと決め付けて、この小説の書評、感想文を書かれている方々がいらっしゃいます。, wikipediaからサイコパスの特徴を抜き出して考察してみます。(サイコパスについて厳密に掲げると長くなりすぎるので簡易的な特徴で考察させてもらいます。), 主人公はモラルを保とうという意識がむしろ普通より高く、良心もむしろ高いようですから当てはまりません。, これもむしろ普通より他者に優しいことが、いくつかのエピソードからわかります。ただ共感されることを事前に予想できないところが、変わっていますが、あてはまらないといいっていいのではないでしょうか。, とても正直で、むしろ正直すぎてこうなっている主人公ですからまるっきり当てはまりませんね。, 子供時代のエピソードで、喧嘩している男子をいきりなりスコップで叩いて黙らせるところは、責任取れないでしょうが、子供時代のエピソードであることと、正常とされる大人も責任取れない行動はよくしているので、全く責任が全く取れないという表現には当てはまってないと見ていいでしょう。, 自分が他人と違うことで居場所がみいだせないことから、コンビニ人間になったともとれるので、罪悪感が皆無にはあてはまらないですね。, 自尊心は過大なところは小説の中に見当たりません。自己判断が世間とずれることはありますが、それは自己中心的とは違うのであてはまりません。, こうやってみてくると、この主人公はとてもサイコパスという表現が当てはまるタイプとはおもえません。, 芥川賞選評の中で島田雅彦氏がこのように書いたことが源流のようです。「セックス忌避、婚姻拒否というこの作者にはおなじみのテーマを『コンビニ人間』というコンセプトに落とし込み、奇天烈な男女のキャラを交差させれば、緩い文章もご都合主義的展開も大目に見てもらえる。巷には思考停止状態のマニュアル人間が自民党の支持者くらいたくさんいるので、風俗小説としてのリアリティはあるが、主人公はいずれサイコパスになり、まともな人間を洗脳してゆくだろう。」, 島田雅彦氏は選考委員の中で、コンビニ人間に最も低い評価をつけていますが、この選評も別に、”主人公はいずれサイコパスになり” とかいているので、小説の中の主人公が既にサイコパスになっていると評価しているわけではありません。ただ、これに影響を受けて、主人公をサイコパスと決め付ける、感想文、書評が出てきているようです。, この主人公は、他者の心、共感を事前予想することが苦手なものの、一生懸命、合理的に、優しい気持ちで、こうあったほうが良いのではと考えて生きています。でも世間とずれているので、それが理解されないまま、社会と接点を持ちにくくなって、コンビニ人間になることに、生きる道と喜びを見い出しています。, そして、この小説自体まで、内容を理解しないまま、主人公をサイコパスと決め付けて、自分達が理解できない特殊な人と位置づけることで、考えないで、自分がわかった気になれる方法を選んだ人達がでてきているということのようです。, 多くの人は、自分が理解できない、あるいは理解するためにはよく考えないといけないことに対しては、誤解でも、一定の決めつけをおこなって、わかった気になりたいこと。それにより、決めつけられた対象に問題が生じることより、自分がわかった気になれる安心感を優先することが、小説の中の他の登場人物からの主人公への思いだけでなく、読者の主人公への感想にまで拡大していることが、興味深く、根が深いことです。 そしてこれは、この小説で表現されている、多数派と似た感性を持たないだけで、愛すべき感性を持っていても、社会から阻害されしまうことが多い、人間の生きづらさを、感想文にまで広げていることになります。, 1.主人公がその時代の常識に自分の本能と言えるほど深い情動を適合できずに苦悩または戸惑っていること。, 2.最終的に、自分の本能に従うことで変人扱いされるが、常識人よりよく考えていること。, この2作品と比較してしまうと、文章の詩的美しさや、人間の内面の克明な描写、表現力では劣っていますが、, 現代の人類の転換点を迎えているかもしれない状況の中で、コンビニ店員という巨大なシステムの一部になりきることにしか生きがいを見出せないかのような人間。, 恋愛も、性欲も、怒りも、湧いてこないのに優しさはある主人公をわかりやすい文章で描くこと、それが常識人からみて変人に見えても、実はそういう人間は急増しているであろうことを想像させる内容になっています。, 全人類が発展途上国までスマホを長時間見続けて恋愛や性欲への欲求自体が減ったかのような現代。人工知能に、既にゲームでは人類が全くかなわなくなった現代。, そんな現代に生きる人間は大きく変化してきているのに、今までの常識に縛られたままの人がまだ多数派である現代。, 主人公と同様の人は現代では急速に増えているはずです。そして、コンビニに限らず、大きなシステムの一部品として生きることに安住の地を見出しているはずです。, この主人公が一度は捨てたコンビニに、白羽の必死の説得も省みず最後はまた戻っていくことがそれを象徴しています。, 現実に恋人の居ない人も出生率もこの10年で驚異的に減ったことのデータはこちらにあります。, 著者は自分の感性と経験をこの小説にまとめることで、上記のような人類全体の大きく本質的な変化を個人の観点から表現する社会的インパクトの大きな仕事をしたと言えると思います。, 全記事自分で書いています。 「なんだよ、このタイトルのセンスは」「よくある、フリーター経験の長い中年の私小説だろ?」と思って敬遠していた2016年上期芥川賞受賞作の『コンビニ人間』なのですが、いやはや、驚きました。傑作です。なんだこの小説は!?という新鮮な驚きを与えてくれましたので、ちょっと感想を。, 「お話」としては、僕ふくめ皆様のご想像どおりというか、コンビニで長くアルバイトをしている独身中年女性の「生き辛さ」みたいなことなんですが、  ・主人公含め登場人物のキャラクターがスゴい ・「おかしいヒト」の一人称語りが成功している という2点によって、アクチュアルかつブンガク的な題材であるように見えて、物凄く異様な、見たことのないような小説になっているんです。あ、要するにそれはブンガク的に優れている、ってことになりますね。, この小説、導入からしばらくは凡庸な私小説だと感じるのですが、とにかく中盤まで判断を保留して読み進めてほしいと思います。, 「18年間コンビニでアルバイトをする36歳の独身処女の主人公」は、両親に愛されて育ってはいたものの、幼少期の「小鳥が死んで皆が悲しんでいるのに焼き鳥にして親に食べさせたいと言った」「男子の喧嘩をやめさせるためにスコップで思いきり頭を殴った」「ヒステリーな女教師を黙らせる為にスカートとパンツを一気に下した」といったエピソードから、情緒面に問題があることがわかります。あるいは発達障害というか、サイコパスの気質があることがわかります。このへん、医学的にどういう分類になるのかわからないけれど、論理的な思考能力はあるが「ごく一般的なヒトが持っているとされている情緒全般」が完全に欠落している、情緒(のようなもの)が恐ろしく欠落しているから論理的思考の内容も「ふつう」からしたらおかしい、というキャラクター。そのせいで身内や友人、世間から「異物」として扱われていて、そのことも完全に自覚しその理由も理解しているのだが、異物として扱われることに対する憤りや悲しさや絶望などの感情が欠けていて、それがまた周囲の人間との決定的な断絶を作っている。「社会から疎外された弱者」の「内面を描く」という文学の紋切型の一類型であるように見えるが、主人公がこれっぽっちもメソメソした「内面」を見せず、淡々と「自己と世界の折り合い」をつけようとしているせいで、読者の感情的同化を拒むところがある。それは作品内に出てくる、コンビニで働く人たちや親族や友人などが、彼女の「本質」に迫ろうとして目撃してしまうものと言える。, 「ふつう」の人たちが「就職もしない」「結婚もしない」「それらのことに"自分たちが予測可能な形での"葛藤を持たない」彼女を異様な異物と見ていて、なんとか「治」そうとし、彼女もそれに応えようとするが、理解は出来ても感覚としてわからないのだから治しようがない。「正常」とは、誰にとって、どうあることが「正常」なのか、という問題を突きつけてくる。主題はここに集約されているが、「格差」とか「貧困」とか「精神の病」などの現代社会を読み解くキーワードに当てはまりながら、それらの言葉で安易に論じることを作品自体が拒んでいるようにすら見えるところが面白い。むしろそっちから語ったらダメだよねとすら思わせられる。, そんな彼女にとって、コンビニエンスストアという「システム」は何なのか、ということが描かれる。『コンビニ人間』という、一見何の捻りもなく滑ったようなタイトルだが、そうとしか名づけようがないということが、「圧巻」のラストまで読めばわかる。「社会(世間)の部品」にはなれない人間の、極めて特殊な生き方を、極めて特殊な表現で描き、異様なパワーで押し切ってしまった、という感じですね。, 主人公の「懐」に入り込んでくる主要登場人物、劣等感と超絶ミソジニーにまみれたモンスター級糞カス男(こいつがとにかくヒドいのでココも注目点!)との関係も、笑ってしまう。というか、全編を通して「イカれ」感にブレーキをかけていないので、「精神がおかしな弱者」を描きながら、深刻さではなく可笑しみを感じさせる。最初に書きましたが、コレを一人称でやるのは、絶妙なバランスというか、技巧が必要だと思うんですよね。, 芥川賞の選考委員も、なかなかモノのわかるヤツがいるじゃないの(笑) と思いました。. 村田 沙耶香『【第155回 芥川賞受賞作】コンビニ人間』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。【第155回芥川賞受賞作品】 36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。 維持できなくなり、現実に、独身率は上がり、出生率は減り、と世の中は大きく変わってきている。, その中で、世間と大きな隔たりを感じながら、自分の意見を表明すると、両親と妹を心配させて悲しませるから黙っていようと、子供時代に心に決めて、なんと小、中 高等学校と必要なこと以外は喋らず、自分から行動しないで過ごします。, そんな主人公自身が 「治らなくては」 と思いながら、自分の居場所を見いだせずに18歳までそのまま過ごし続けてきました。, 学生時代にコンビニでバイトし始めたことで、自分が社会とつながることのできる、居心地のよい世界の部品としての居場所を見出します。, 主人公に、”コンビニ人間として生まれる前のことはどこかおぼろげで、鮮明には思い出せない” と回想させているくらい、彼女の人生の一大事だったのです。, 世の中に覚醒した人が増えたなら、この主人公こそが、少なくとも もう少数派のままではいられなくなるのではないでしょうか?, ただし、この主人公は、目的を達成するための合理性があまりに強く、これをやると、普通の人がどのような感情的な反応をするかを予想することがとても苦手です。, もし、人工知能が人格を作り出したと想像するなら、一般的な人間より、彼女の人格に近いものに、最初はなっていくのではないかとまで想像しました。, 合理的で論理的で正しいことをやっているはずが、一点、大多数を占める普通の人の感情の予測、(事後的な理解はできる)を出来ないために、彼女は孤独なのですが、, その孤独をそれほど、辛いと思っているようでもなさそうなのに、人との付き合いは持とうとして、かつ、その中で自分が孤立することは意識して、気にしていることから実は葛藤しているらしい。, 彼女自身、無意識には、何かとつながりたがっている。それが、合理的、論理的なコンビニのマニュアルでなら、それに素直に従うことができ、そのルールに従って、運営されているコンビニに安心感と美しさを感じることができる。 まさに、彼女こそ、体の奥、心の奥からの 真性 ”コンビニ人間” なのです。, 忠実な ”コンビニ人間” になることによって、社会の部品の一部になって世の中とつながれる、今まで一度も彼女を満たすことのできなかった、世界との一体感を覚えることができる。, だからこそ、彼女は、コンビニの店員であることに、ここまで、深いこだわりを覚えるのです。, それを、的確に描写して、読者に想起させる、著者の力量の高さと、このような人格の主人公を作り出せる、著者の中の、普通でない部分(異常性といってもいいでしょう)も隠せない内容でした, 実存って? これ大袈裟なのでは? と思われたかもしれません。私の感想では大げさではありませんでした。, ”実存主義” の実存とはシンプルに言えば ”世の中の仕組み、本質がどうなろうが、自分がどうやって生きていくか存在していくかをまず優先して考てやろう” ということです。, この”コンビニ人間” の主人公は、明晰さ、疑問を持つ能力、観察力を持って、自分を取り巻く世界を眺めているので、平均的な人よりむしろ、世の中の仕組みの一部は理解しているように読み取れます。, ところが、その知識によって、精一杯まともに合理的に生きようとすることで、逆に孤独や疎外感、自分を愛してくれる家族すら心配させてしまう変わった存在となってしまいます。, 一番、世界と繋がっていられる部品と感じられる世界を ”コンビニ” に見出して、結婚も、恋愛も、他の仕事もせず、36年の人生の丁度半分の18年間を正社員でないコンビニの店員としてただひたすら忠実に”コンビニ人間”として生きることに、自分の最も快適な存在感、存在意義を見出しているのです。, 例えば、一生働かないでも生活継続可能な大金があっても仕事を通じて人は社会と繋がっていないと、辛くなっていきます。 自分はどう有りたい存在なのだろうということに、この彼女は ”コンビニ人間”になりきるという自分なりの固有の解決方法を見出し、それを継続してきているのです。 ただ、現代は多くの巨大チェーンストアの店員の中に同様、同種の思いを共有する人は実は既にたくさんいるのかもしれません。丁度大企業に所属するだけで安心感を得られたように。, 世の中が大きく変化するとき、全体の枠組みがどう変化するかなんて、実は誰にもそんなにわかるわけがなく、いざとなると、その予測不能な変化の大きい全体の仕組みの中で、自分はどうやって生きていくんだという、切実な思いが強まり、この実存という概念は強まります。いざとなると、社会の中に自分がいるにも関わらず、社会の変化方向がわからないなら、自分だけでも生き抜こうという生存本能が強まるからです。 この小説が今関心を呼んでいるのは、今こそがそういう変化の時代だと人々が感じている証左の一つなのでしょう。, ただ、この主人公は、コンビニの部品となった日から自分が誕生したとすら感じているので、全体の仕組み、システムに、自分の現存在を優先して考えたいという、実存とは違います。, 結局のところ、自分って何なんて考え続けても本当の答えなんか見つからなくて、主人公は、システムの部品としての自分を認識できるようになって、自分の存在を認められるようになったいうことなのです。, 重要な登場人物として白羽という身長180cm以上で針金のハンガーのように痩せた男がでてきます。, 主人公の同僚となっても、まともに仕事しないどころか、ストーカー的な問題もあり、すぐクビになったこの白羽に主人公は常識外れに親切な対応をそれを親切とも自覚せずに行います。, この白羽は小利口であまりに身勝手な自論を次々に繰り出します。 こんなにありえないほど、非常識なほど親切にしてくれた主人公に対してこんなセリフまで吐きます。, 「それはね、あんたがおかしすぎたからですよ、36歳の独身のコンビニアルバイト店員、しかも多分処女、毎日やけに張り切って声を張り上げて、健康そうなのに就職しようとしている様子もない。あんたが異物で、気持ちが悪すぎたから、誰も言わなかっただけだ。影では言われてたんですよ。 それが、これからは直接言われるだけ」, これを言っている白羽はコンビニの店員も僅かな期間しか勤まらなかったのに、ここまで親切にしてくれた主人公にこんなことを言って、それでも、彼女は少しも怒らない、何を言われているかもわからいない。, (因みに、この小説の著者:村田沙耶香も36歳でコンビニ店員を週3日働いています。それも既にお金を稼ぐ必要なくても。), ただ、この白羽の発言は一時が万事この調子です。自分のことは完全に棚にあげて、宇宙まで放りあげてないことのように無感覚にして、他の人間をあげつらう。それにより、少しでも自分の感情の辛さを和らげようとしている。頭は本当は小利口なところもあるらしいが、自分の心の辛さを1%和らげるために、他者を100%貶める発言をし続ける。それにより醸し出された当然の結果としての孤独は、主人公に負けないものがある。その孤独に対して、主人公にもあった同情や共感がこの非常識なまでの親切心の一因かもしれないまま、小説の結末まで、二人の関係は続いていきます。, 究極のダメ男とは、真実も論理も、自分の心の辛さを和らげるためには躊躇なく自分勝手に意図的に曲解、歪曲し続けて他者を貶め、自分は決して何ら行動しようとしない。まして誰かのために何かをやろうとしない、結果的に自分を最も痛めつけてしまっている男として、この小説に登場します。私は、薄ら寒いものすら感じました。なぜなら、そのダメな部分を私も、また多くの人ともある程度は持っているからです。, これで終わりだと、重すぎなので、雑談追加します。コンビニの店員さんって興味深いです。最近は中国、ミャンマー、ベトナム、タイ、色々な国の人もいてこの小説にもダット君、トゥアン君という外国人が登場し、最初不慣れなのに、他の店員と馴れ合いになるのは主人公よりも上手ににみえることまで表現されています。個人的にはコンビニで、化粧は下手らしく一生懸命働いている女性店員さんをみかけると、本当はもっと綺麗な人のはずだよなあと、想像することが度々あり、それがこの 『コンビニ人間』というタイトルだけでこの本を手にとった理由でした。, は、コンビニ人間の主人公と同年齢の36歳(発売時 解説:村田沙耶香生年月日1979年[1]8月14日(wikipedia) コンビニ人間 単行本 発売日 2016/7/27